2013年05月17日

金魚午睡感想(5)

○感想・金魚午睡(5)

(続き)

数ページしか出てないんですけど、
キヨのお姉ちゃんってすごいキャラが立っていて好きです。
ソファーでだらんとしている姿、ズケズケものを言う性格。
金魚が可哀想だなー、と言いながらも狭いグラスに入れたまま。
たまたま現れた妹にけだるく移動を依頼しているズボラ感。
こういうズケズケとした女の子に
狂言回し的な役割をさせる望月先生のネームが好きです。
※そういう意味では金魚午睡の橋本ちゃんも好き
 一度〆たけど、もう一つ橋本ちゃんについての
 サクラチル番外感想記事を書きたいと思うくらい好き

最後にキヨのクラスメイトとして出てくる女の子も
ズケズケとした押しの強いタイプで、妙に印象の強い娘です。
たった数コマ、ほんの少しの会話ですが
小学生時代から(ヘタすりゃもっと前からかも?なんか腐れ縁を感じる)
いい付き合いしてたんだなあ、と思ってしまう独特の雰囲気。
自然に色々説明してくれて、憎めないです。


余談。
ナミとキヨの名前は岐阜県の地名から取ったと
望月先生は述べられていますが、
最後のコマの視覚的効果のために、
「森美並(もり・男子の最後の方の)」「安積清見(あづみ・女子の最初の方)」と
苗字は考えてチョイスされたんだろうなー、と思います。
そうでもしないと並べて表現できないよね。


ナミは笑顔で何を思っていたんだろう。
読み返して悩んでしまいます。
簡単に忘れてしまうと言ったのはこの少年はずなのに、
思い出の強さは、キヨよりも確かなような雰囲気をどことなく感じます。
でも、そんなこともなくて、すっぱり忘れていたのかも。
ただ不思議とナミに笑いかけたくなったのかもしれません。
キヨに後からこの時のことを説明しようとしても、
ナミがうまくできないのは確かだと思います。
勝手な想像です。でも、この後、いつかキヨとナミには、
この出会った時のことをぽろっと話すような機会が訪れるのだと思います。
二人は親しくなるでしょう。
何も覚えていなくても。


posted by フズリナ at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 望月花梨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月21日

金魚午睡感想(4)

今年の初めから、新居探しやら引越やらで
ろくに活動?していなかったので、お久しぶりになってしまいました。

色々気が散っていたので、経った月日に気づかず、
うすぼんやり待ち続けていましたが


どうなったんじゃい花とゆめプラチナ…。

※プラチナに掲載されていた久世番子先生の「パレス・メイヂ」が
 別花で連載開始されたっぽいのでどうもなんかアレみたいです。
 オルボワール、花とゆめプラチナ。
 アデューとはあえて言わない。また逢いましょう、花とゆめプラチナ。

---------------------------------------------------


○感想・金魚午睡(4)

(続き)

あとがき・ノドアメイカガで書かれているように
望月先生は人に聞いたというフレーズ
「ものを忘れる時間 金魚5秒 鳩1秒」に触発されて
この漫画を描いたようなのですが、
もうちょっと金魚も鳩も賢いらしいです。

そもそも記憶って複雑なもので、
短期記憶長期記憶その他入り乱れているものですね。
だから表面的なことを忘れてしまっても、
金魚の刺青はちくちく浮き上がり、キヨの脳の層には何かが残ってる。
そんな感じなんだと思います。

ナミの体に残った傷も、心も同じようにきっとちくちくしている。

読み直した時に、ふとナミが満たされない気持ちなのは
何故なのだろうかと想像しましたが、
やっぱりキヨと同じように家庭環境問題を想起させます。
なんとなく二人とも似たような感じだから。
ただ、ナミの方が圧倒的に「分かりにくい不良」なシルエットだと思います。
キヨほどすぱっと分かりやすくはないよね。
ナミは一応影のある少年ですよ。美少年だけに単純じゃないんですよ。勝手な主観ですけれども。

(続く)

posted by フズリナ at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 望月花梨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月26日

カラーイラスト・春雷


花とゆめプラチナ創刊号
・A5版コミックの扱い。
・なので雑誌の場所でなく、コミックの陳列場所にあるかもしれない
・表紙は紅茶王子。白を基調としたデザイン


このような予備知識を携えて、色んな本屋をうろうろ探しましたが、
全然見つけられず、生活範囲圏外の本屋で26日、ようやく入手できました………。
もう発売日から一週間遅れの感想ですわ。



タイトルは「春雷」。
モノクロ1ページのイラスト。

鉄塔や建物、一風変わったシチュエーションから生まれる構図が良い。

次はカラーで、とか、漫画とか、もろもろ欲深い気持ちも出てきちゃうのですが
とりあえず一つお仕事を見せてもらっただけで嬉しかったです。

プラチナという雑誌自体、読みきり中心でしたが、
次に続くような展開を狙っているような感じの作品が多かったので
このあたりを考えても、こういう感じで望月先生の掲載が続いたらなあ、と思いました。


とりあえず、さらっと感想はこんな感じです。
posted by フズリナ at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 望月花梨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月08日

速報・花とゆめプラチナにイラスト

花とゆめプラチナ
オール新作描き下ろし、全部読みきりのnewコミック誕生!
2012年 1月20日発売

シチュエーション・イラスト 望月花梨

http://www.betsuhana.com/platinum/

---------------------------------------------------
とりいそぎ。

なんだろう、シチュエーション・イラストって!
昔花ゆめにカラーのピンナップとかあったけれどそういう感じなのかなあ。
ああ、これだけなんですけど、すんごい嬉しいや。
ともかくも、白泉社からまだ仕事が振れるくらいには
ラインが繋がっていたということが確認できただけでも良かった。
漫画じゃないんで、予告カット等の詳細は
これ以上分からないかなーと思いますが、とりあえず継続チェック。
高尾滋先生の人形芝居もいいなあ。
posted by フズリナ at 23:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 望月花梨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月21日

金魚午睡感想(3)

○感想・金魚午睡(3)

(続き)


キヨが最後に女の子だと分かるのは、なかなか巧みな演出だと思います。
驚いた人もいるかも。
でも、大きなどんでん返しというわけでもなく、
あくまで、ちょっとだけ混ぜ込まれたスパイスみたいなもので
自然に少し深みと影が作品に現れていると思います。
本筋の邪魔をせず、今までの展開の中に違和感なくはまり込み、
むしろ、なるほどと思わせるような所もあり。
学生服を着たキヨとの縁も不思議と変わってくる。
小さいけれども、ぐっと心にひっかかりを残す感じ。

この作品の中で、重要な因子であり、
大きく印象を残すものといえば、他に刺青があります。
ボールペン刺青。

ふんわりした気持ちで調べてみたんですが、
これ、うまくいくと結構ガチで残るみたいじゃないですか。
もっとゆるーい作業だと思ってた。
システム構造上?、皮膚にインク残す原理は同じですもんね。
よいこはまねしちゃだめ。
こういう小さく人の道に外れたような
あやういティーンエイジャーの儀式、おまじない、決まりごと。
望月先生はそんな悪徳を描くのが非常に上手くてぞくぞくする。
痛々しくも甘い、少年少女達だけが楽しめる
価値観の狭い、残酷な遊び。
そういうことが間接証明のようにほの暗く取り込まれていて、
色んなことを、時々コマ割りの中で熱っぽく照らしてくれている。


(続く)
posted by フズリナ at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 望月花梨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月26日

金魚午睡感想(2)

色々あって、震災後初書き。
神奈川県住まいので、個人的には大きな被害もなかったのですが
やたら感想更新まで持っていくのに時間がかかってしまいました。
(…正直、何も事件がなくても遅いですよね。すみません。)

こうした大きな災害があって思いますが、
望月先生は今どこにお住まいなのかなあ。
ご出身は岐阜なのですが、
勿論そこから離れていらっしゃるような感じはしますし…。
あまりお困りになってなければいいのだけれどな、と願います。

---------------------------------------------------

○感想・金魚午睡(2)

(続き)

出来事としては数時間のお話。
後日談も少しありますが、一瞬で覚める夢のような物語です。
実際キヨの中では夢として位置づけられているような、不思議な体験。
なんだか、あの洞窟にいた時だけ神隠しにでもあったようだ。

そう思ってしまうのは、表紙のせいかもしれません。
黒いベタの中にぼんやり白く光る洞窟の形。
とても綺麗で柔らかく、怖い。
改めて見ると、望月先生は細いホワイトの線を使って
輪郭を丁寧に処理しています。

先生には胎内回帰をイメージした作品が他にもありますが、
金魚午睡もそういった「非日常である場所に行き、そこから抜け出す」
生まれ変わりの感触を秘めているような気がします。
外界のことを引きずりながらも、
あの中にいた時だけキヨは色々なことから離れていましたし、
ナミの言葉で自分が今持ち合わせているものが
いかに小さいものか自覚でき、変化する決意をぼんやりと固めたわけですから。

面白いのは、これが実際閉じ込められていた時の決意じゃなく、
外気に触れ、ナミのことや様々なことを忘れていく時に
自分のことを反省し、キヨの心がぐんぐんと変わっていく所かも。
新しく世界に生まれ少しづつ育っていくような
清々しい目覚めのような変容。
もともと情の深く、まっすぐな性格の少女だから
一度思ったことは、きっちり貫き通すのだろうと思わせます。

そういや、お姉さんにも揶揄されてましたが、
キヨって「すごくすごく分かりやすい不良」ですよね。可愛いくらいだ。
ひねくれてない、分かりやすい反抗&犯行。


(続く)
posted by フズリナ at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 望月花梨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月10日

金魚午睡感想(1)

twitterやってないけど、ちらちら見てます。
twitter:望月花梨名言.bot
望月先生の漫画の台詞やモノローグを自動的につぶやいているアカウント。
(たぶん昨年の終わり頃からつぶやき開始かと思う。)
これ作るの大変そうに思えるけど、
文章を打ち込む作業はとても楽しいのじゃないかと夢想。
ずらーっと出てる台詞を見ていると、
やっぱり初期の作品の方がコマ割まで思い出したり
自分の血肉になっている感じがした。

---------------------------------------------------

○感想・金魚午睡(1)

花とゆめ本誌に掲載されたので、きっちりリアルタイムで読んだ記憶。
表紙の余白に「わたしたちのネオ・ダダイスム」という
ぶっ飛んだコピー=作品紹介が付けられていたのが思い出深いです。
(十数年前の話ですが、たぶん間違えてないと思う。
 もしかしたらネオ・ダダイ「ズ」ムだったかも)

ちなみにネオ・ダダイスムというのは芸術用語で、
いわゆる前衛的・反芸術な傾向を意味します。
…こういうフレーズを付けちゃったライターさんの気持ちが
確かに分からなくもない不思議な話、金魚午睡。
淡々としつつも、ヒリヒリするような漫画で
これにコピーを付けろって言われたら困るのかもしれない。
今じっくり読むと、こういう話をどーんと載せちゃう懐深かった
90年代・花とゆめへの思慕が募ります。

暗く閉ざされた空間での会話。
すごくトリッキーで面白い。
コミックス版あとがきで
「できるものなら全部シルエットで描いてみたかった」と
望月先生は冗談交じりに語られてますが、
きちんと絵にしていても、
この作品にはやっぱり少し実験的な感じが漂っていて
いっそのことそれくらいやっても大丈夫だったんじゃないかと思える
登場人物の想い・言葉の深さがあります。

しかし、せっかくのキヨの豊かな表情が見られなくなるのは悲しい。
表情が無くて、本来シルエットと同じようなナミも
感情が見えないという状態がよりわかりやすくなるので
ちゃんとした絵は勿論必要だったのですよ。

(続く)
posted by フズリナ at 23:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 望月花梨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月26日

サクラチル感想(4)

○感想・サクラチル(4)

(続き)

なんとなく欲望バスの和歌ちゃんを思い出します。
花弁と死者は調和している。
さくらの花びらが舞う中、どうしようもない感情に飲み込まれ
わけも分からず泣きじゃくる花森さん。
でも彼女は生きていこうとしています。
死んでしまった彼のためではなく、自分のために生きると口にもします。

読み返してみて、一番はっとさせられたのはこの言葉でした。
花森さんは繰り返し繰り返し「自分は生きていかなきゃいけない」という
ニュアンスの文章を使っています。
それだけ呪文のように繰り返さなくては自分の状況を肯定し、
立ち向かうことができないのが分かりますが、それにしても強い言葉。
「ぜんぜんダメ」ってことはない。本当に「結構強い人」だよ。

だけど、これってきっと良行君には辛いことかもしれない。
彼の真意は測りかねますが、
花森さんを無傷で残すつもりはなかったんでは?

よく考えてみると、この物語は
そんな生き残った花森さんが一人強く生きようとするのに
良行君に「引き込まれてる」話なのかもしれません。
花や救急車の向こう側には、
本当は一緒に死ぬはずだった愛する人を待ち続ける良行君がいるのかも。
あっさりと冷静な、誠君の眼差しで見つめられているからぱっと分からないけど、
サクラチルは、美しい怪談ではないのでしょうか。

あんまりどうこう筋をいうお話でもなく、
桜の花とセーラー服の少女を、本当に綺麗に織り込んだ一編だと思います。
でも、なかなか花森さんの揺れる心情と
芯の強さには心引かれるものがあるのです。
posted by フズリナ at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 望月花梨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月08日

サクラチル感想(3)

○感想・サクラチル(3)

(続き)

その後の三、四コマのうちの会話で、
花森さんがどういう存在で、誠君はどういうつながりなのか
すぐに読者には伝わります。
説明的な台詞ということでもなく、とても自然。
次のページの、女子マネージャー・橋本さんとの短い会話でも、
自然に花森さんの側面や、彼女を取り巻く状況が把握できるのです。
印象的な大ゴマを使っていても、導入部に全然無駄がない。
あらためて読んでも、ほれぼれします。

だけど彼女はわりとすぐ学校に出てきた

これも、個人的には、望月花梨漫画の中でもかなり印象的なコマだと思います。
トーンなし、顔なし、台詞なし、
ただ戸口の方向を見ていると思われる教室のクラスメイト達。
つやつやとした黒ベタ。
予想と違った形で学校に現れ出た花森さんに
言葉がなくとも、違和感、驚き、感嘆、そんなものを抱えているのが分かります。
花森さんはまるで亡霊のよう。

サクラチルは、普通じゃない・普通が分からないまま
フワフワ現世を漂う花森さんを描いているのでは?
なんて感じる。

愛する人を我が半身、と表現することがありますが
後の花森さんの説明からすると、二人はまさにそんなような恋人同士。
良行君と死に別れた彼女は、生きてても死んでる人。

(続く)

posted by フズリナ at 16:27| Comment(3) | TrackBack(0) | 望月花梨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月04日

サクラチル感想(2)

○感想・サクラチル(2)

seibun.png
こういうのってなんだかんだいって、すごく楽しいです。


望月花梨成分分析より作成。

---------------------------------------------------

(続き)

表紙をめくって一番先に目に入るのは、ぽっかりと浮かび上がる花森さん。
目をひく大きなコマ。
余白が彼女の姿をより印象深くしている感じ。

本当は彼女の前にもフェンスが描かれているはずです。
でも望月先生は、それを次のコマに回して、
誠君の前に丁寧に描いた。
直線的だけどねじれ、からまっている。

フェンスは単純に見えて、かなり描くのが面倒なものだと思います。
定規でぴっと引けるのは、一ブロックだけ。
そこから少しずれて、また次の直線へ。
その直線も、またねじれている所でいったんおしまい。
また曲がって、また曲がって…。
均等な菱形を保ったまま描くのって、思った以上に大変なはず。
※余談ですが望月先生は丁寧にフェンスを描いていることが多いと思う
 夏はまだ〜とかクロルカルキとか
 印象的なプールサイドのシーンが多いっていうこともありますが
 先生の描くフェンス、好きです。マニアです。
 
綺麗で、よく知らないけど好きで、
皆あこがれているけど、フェンス越しにしか見られない花森さん。
仕切りになるフェンスが描かれているだけで、
なんなとく読者に誠君が花森さんに感じている距離が伝わる。
あの2コマには、そういう視覚的効果を秘めていると思うのです。

(続く)

posted by フズリナ at 14:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 望月花梨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。